沿革

アイ・コンタクト

 リリー・アン・ジェリー(53歳)

 ケニアの首都ナイロビの孤児院で20年看護婦をしている。

 いつも百人近い子供と暮らし、状態の良くない子供たちを育ててきた。

 へその緒をつけたまま捨てられていた子、アルコール中毒の母親が育児をせず、4ヶ月で体重が2キロ足らずしかなかった双子、みんなリリーの腕の中で大きくなり、笑顔が生まれた。

 キョロキョロする疑い深い目、だっこを続けると、目がだんだん落ち着いてくる。リリーと孤児の目が一直線に結びつく時間がしだいに長くなる。そして笑う。

「アイ・コンタクト」

 二つの心が通いあう瞬間をこう表現した。(朝日新聞の日曜版より)

 これを読んだ時、先々代の住職が門徒の方に「仏様を拝む時は仏様をまっ正面に見て拝みなさい」とおっしゃられたと母から聞いたことを思い出しました。

 「迷い」という字は、しんにゅうに米と書きます。しんにゅうは道を表わします。米と言うのは自分のすすむべき道を見失って、どちらを見てすすんだらよいかわからずに上にいこうか下に行こうか、それとも右に進もうか、やっぱりななめにしようかとキョロキョロしている状態を言うのです。

 心が不安になって動揺している時、信じることができない時、私達は、どこに目を向けていいのかわからずにいます。そんなときこそ仏様の方をまっすぐ向けば必ず心の通じあう瞬間があるのです。

 なぜなら、仏様は、このリリー・アン・ジェリーのように私達を救うために、いつも目をそらさず見ていてくださるのだから…。

 仏様との「アイ・コンタクト」これがお念佛です。

『聞法(1994(平成6)年8月1日発行)』(著者 : 西郷 教信)より