沿革

お葬式まで遺言ですか

 遺言状を残して自分のお葬式まで決めておこうという方がおられますね。それがあれば残ったものがしやすいという面があるかもしれませんが。

 ある時、テレビ番組で変わった会社を紹介していました。それは東京の方で、遺言をその通りに代行する会社なのです。内容については、自分自身のお葬式についての依頼が目につきました。

 自分の死後、近親者が自分の思い通りに実行してくれないという事情があるのでしょうか、それを会社の契約にしておくのです。知らせを受けた会社は社員を派遣して代行する。と言ってもせいぜいお骨の始末までの契約だったと思います。自分の未来はその程度までということなのでしょう。

 申込書がテレビに映ると、「葬式するな」「僧侶をよぶな」などの言葉が次々に目に付きました。これは関西では考えられないことですが、関東ではそれが現実のものとなりつつあるんでしょうか。お寺とのつながりがよほど薄いでしょうね。

 それはともかく、遺言によって「誰それにだけ知らせよ」「骨はこうしろ」とか死後のことまで指図するとは、ちと厚かましいんじゃないですか。

 あるご家庭でのこと。お参りにこられた親戚のばあちゃんがおっしゃいました。 「私が死んだらな、骨はな、六甲山に撒いてくれたらええ」こう言うと「そんなことしたら、山の木が枯れる」と言うんです。「それやったら瀬戸内海に撒いておくれ」って言うと娘ががね、「そんなことをしたら、海の魚が毒気に当てられて死んでしまう」そんなことを言うんですよ。 と笑ってなさいました。娘さんはきっと、命終わってからのことまで母さんが心配して決めなくてもいいのよ。私らがちゃんとするからとおっしゃっているんでしょうね。

 もし言い残すなら「おまえたちのしやすいようにお葬式をしてくれたらいいよ」と、このほうがご家族に対してはるかに優しいと思うのですが。

 

『聞法1998(平成10)年9月21日発行』 (著者 :若林 眞人)より