法語を味わう(13)
このいのち
念仏不思議に
生かされて
苦悩が歓喜と
変わりけるなり
私たちは、欲望を満たすことをいつも考え、幼い時から、生活の中で培った知識を駆使して、いつも損得勘定で生きてきました。
阿弥陀如来の「智慧」の光に照らされ、この世の衆生を救うという「真実の願い」に出遇えた私が、「こんなにも愚かなことをとめどもなく求め続けてきたのか」と気づかせていただき、悩みを超えて、真実に導かれていくはたらきそのものが、「南無阿弥陀仏」のお念仏であります。
そして、仏さまの智慧に照らされ、「苦悩」とは、この「いのち」が生滅するから苦しいのではなく、生滅する存在であるにもかかわらず、それに執着するこの私が、「苦悩」に苦しんでいたことに気づかされ、お念仏(ねんぶつ)申す身にお育ていただくのです。
本願寺派布教使 藤浪 正明