法語を味わう(35)
2020年12月
正義も 善も やさしさも
時に誰かを傷つける
知らないうちに
正しいことをして、まちがったことはしない。善いことをして、悪いことはしない。そして、やさしい心を持たなければならない。私たちが生きて行く上で、基本的なことだと思います。ところが、正義が人を追いつめることがあります。善行のつもりでやったことが、思わぬ結果を生んでしまうことがあります。やさしい気持ちで言ったはずの言葉が、人を傷つけることがあります。なぜでしょうか。
おそらく、判断基準が「私」にあるからです。自分が正しいと信じているから、自分を押しつけ、他から学ばないのです。私はそうやって生きてきたのでしょう。ひょっとしたら、あなたも。宗教とは、その「私」が呼び覚まされていく世界なのです。
(本願寺派布教使 寺澤 真琴)